ブラックホールに関する10のコト(前編)

ブラックホール
ブラックホールのイメージ図・

先日ブラックホールに関するオンライン講演会の記事をあげましたが、執筆していて当ブログにブラックホールの記事が一つもないことに愕然としました(笑)

オンライン講演会のご案内(12/11 開催)
ブラックホール研究の第一人者のお話をご自宅で聞けるチャンスです!

そこで、今日はブラックホールについての小話を10個ご紹介したいと思います。難しいことは考えず、「へー、ブラックホールってこんなものだったんだー」と楽しんでいただけたら幸いです!

今日はまず前半の5つです!

スポンサーリンク

1. ブラックホールは天体の一種である

ブラックホールのイメージ図。

ブラックホールって聞くと、何だか宇宙にポッカリと空いた黒い穴を思い浮かべますよね。でも、実はブラックホールも天体の一種なのです!詳しい話は後の章でご紹介しますが、平たく言うと自らの重力に耐えきれず崩壊し、超コンパクトな極小サイズにまで小さくなったとても重い天体です!なんだか例え方が子供じみていますね(笑)

2. ブラックホールが黒いのは、重すぎて光が出てこられないから

ブラックホールは小さいくせに重すぎるので、光が脱出できません。天体から光が出てこられないと言うのはどういうことでしょうか?分かりやすくするため、地上でのロケットの発射を考えてみましょう!

ロケットのエンジンが弱すぎると、発射されたロケットは残念ながらいずれ地上に落下してしまいます。落下せずにロケットを宇宙に送り届けるにはどうすれば良いでしょうか?そうです、燃料をたくさん使ってロケットの打ち上げ速度をあげてゆけばいいのです!ロケットの打ち上げ速度がある基準を上回ると、ロケットは無事地球の重力を振り切って宇宙空間に飛び立つことができます。これを第二宇宙速度と呼びます。

地球よりも重い天体からロケットが脱出する場合、より打ち上げ速度を速めなければなりません。ところが、速さには限界があります。そうです、物体は光よりも速く移動ができないのです。ロケットが光の速さで打ち上げられても、天体の重力でまた地表に戻される…それがブラックホールなのです。

このような理由で、ブラックホールから私たちに光は届きません。そのため、ビジュアルとしては空間にポッカリと空いた穴を想像してしまうのです。

ちなみに、空間に空いた黒い穴ってどんな見た目か想像ができますか?実は近年、光を99%以上吸収する素材が開発されており、その見た目は正に擬似ブラックホールと呼ぶにふさわしいのです!

反射率99.5%以上を誇る「ベンタブラック」。

こちらは英国企業により開発された、吸収率が99.5%以上を誇る「ベンタブラック」という素材でできた球です。どうでしょう、正に「空間に穴が空いた」という表現がぴったりなのではないでしょうか?

3. ブラックホールは、もともとは太陽より5倍くらい重い星だった

ブラックホールのイメージ図。

じゃあ、そんなブラックホールってどうやってできたのでしょうか?実は、ブラックホールも元々は太陽と同じようなお星様だったのです!

太陽は寿命を迎えると、外層のガスが地球や火星を飲み込むほどまで膨張し、その姿は惑星状星雲として観測されます。惑星状星雲を忘れてしまった方は、以下の記事を見返してくださいね。

私たちは宇宙塵の子!?
私たちのご先祖様は宇宙人...ではなく宇宙塵です!

ところが太陽より重い星の場合、死を迎える際に大爆発を起こすのです。外層部はこの大爆発で飛び散って宇宙空間をさまようのですが、コアと呼ばれる中心部はその場に留まって自らの重さでどんどん収縮してゆきます。

元々の星の重さが太陽の3倍程度であればコアの収縮は途中で終わり、本来は原子の中にある中性子がむき出しとなった中性子星が誕生します。ところが、爆発した星がもっと重い場合はさらに収縮が進み、光ですら脱出できないブラックホールへと進化するのです。

ちなみに、大爆発を起こす星がどのくらい重ければブラックホールとなるのかは、まだハッキリとは分かっていません。今回は大まかに5倍くらいとしましたが、今後の観測やコンピュータシミュレーションでもっと正確な値が明らかになるかもしれません。

4. ブラックホールは、別に物を吸い込んでいるわけではない

ブラックホールと聞くと、何だか周りの物を見境なく吸い込んでいるイメージがありますよね。でも、ブラックホールは別に吸い込んでいるわけでいのです。ブラックホールは、強すぎる重力で周りの物を強く引っ張っているだけなんです。

まだブラックホールへの理解が進んでいなかった頃、ブラックホールが飲み込んだ(と思われていた)物質の出口として「ホワイトホール」という天体が考えられました。ところがブラックホールの研究が進展するにつれ、ホワイトホールというものは存在しないという結論に至りました。

ブラックホールとホワイトホールの関係を想像した模式図。

余談ですが、ホワイトホールは元々一般相対論を解いて得られたブラックホールの解を時間反転(時間を逆向きにして考える)したらこういうものがあるよね、として誕生しました。ですので、数学的な意味ではホワイトホールという天体の存在は矛盾しないのです。単に、この宇宙にはホワイトホールのような天体が”現実に”存在しないというだけです。

5. ブラックホールからは莫大なエネルギーが放出されている

ブラックホールが物を引き寄せているだけだと聞いて、じゃあ引き寄せた物がどうなったんだと気になった方も多いと思います。実は引き寄せた物質の一部でブラックホールが太り、そして成長に使った物質以外は熱や光といったエネルギーに変えて外に捨てているんです!成長に使った分以外は全て吐き出すというのは、ちょっとお行儀が悪いですね(笑)

ブラックホールの想像図。周りのガスはブラックホールの重力で円盤状になりながらブラックホールへと引き寄せられている。ブラックホールに吸い寄せられた物質の一部は光となりジェット状に噴出されている。

先ほどブラックホールは光ですら脱出できない天体だと書きました。それでは、光で天体を観測する望遠鏡がどうやってブラックホールを見つけたのでしょうか?…そうです、ブラックホールが食べて吐き出した光や熱を観測して見つけているのです!光や電波の望遠鏡で上の図のジェットを観測したり、X線衛星で円盤状の高温ガス(降着円盤と言います)を観測して”間接的に”ブラックホールの観測を行ってきました。

ダークマター研究の歴史2(弾丸銀河団に潜むダークマターの証拠)
X線観測によって暴き出す、銀河団中に存在するダークマターの証拠。

宇宙には「クエーサー」と呼ばれる天体があるのですが、その正体は銀河中心部にあるブラックホールが強烈な光を発している天体なのです。どのくらい強烈かというと、ブラックホールからの光が銀河全体の星から発せられる光よりも明るすぎて、銀河そのものが観測できない状態です。例えるならば、クリスマスツリーのてっぺんにある星からの光が眩しすぎて、せっかくのツリーのイルミネーションが一切見えない状態でしょうか(笑)

クエーサーとは、クリスマスツリー上部の星の光が強すぎてせっかくのイルミネーションが見えず、遠くからだと単なる明るい星にしか見えない天体のことである(笑)

このクエーサーの明るさの元となっているのが、ブラックホールが引き寄せた物質のエネルギーなのです。ブラックホールが周囲の物質を食べ尽くした後は、ブラックホールの活動も穏やかになりクエーサーも普通の銀河になります。私たちの天の川銀河も、以前は中心のブラックホールが光り輝くクエーサーだったと考えられています。

実は、クエーサーの仕組みが明らかでなかった頃は、クエーサーの正体はホワイトホールだと考えられていたようです。ところが研究を進めていくと、この膨大なエネルギーの放射はホワイトホールではなくブラックホールによるものだと判明したのです。こうやって科学は進歩してゆくのですね!(笑)

後半へ、つづく…

なんだか、キートン山田さんのようなことを書いてしまいました(笑)ブラックホールに関する記事がないと気がつき、これはいかんと思い勢いに任せて執筆してしまいました。。。

最近は土日も仕事をするくらい忙しく記事更新ができていなかったのですが、今日みたいに記事をいくつかに分割したりしてでも更新を続けていけたらと思っています。いつも応援してくださる方々には、心より感謝を申し上げます!

それでは、後半の記事でまたお会いしましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました